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2007年8月

2007年8月23日 (木)

学ぶ人 オシムに学ぶ

 このところ続けて「オシム本」を読んできたが、ようやく「オシムの言葉」に次ぐ好書にめぐりあえた印象。サッカーマガジンの豊富な記事や取材をベースに、簡潔にして当を得たオシム論を展開している。今の段階ではすばらしい監督ではあるが、ワールドカップ出場が訳されたわけではないし、たとえワールドカップに行けなかったとしても、けっしち悪い監督だったわけではない。それでも日本はオシムという人物に巡り会えて本当に幸せだったと感じさせられる一冊。

  • オシムに学ぶのであれば、貫くことと変えることの両方を知らなければならない。そのタイミングと判断力こそが重要なのだが、常に「学ぶ」姿勢があれば、「変える」こともできると、オシムの指導が教えている。(P030)
  • サッカーというのは人生と同じであって、必ずしも自分の思った方向に物事が動くとは限らない。勝つこともあれば、負けることもあるのだ。勝ちだけを望むサポーターであってほしくない。このフクアリで、ジェフの新しい文化が生まれることを期待している。(P105)
  • 人間とはミスを犯すものだが、私の役割はそれを指摘することであり、ミスを認めるわけにはいかないのだ。(P194)

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2007年8月18日 (土)

環境エネルギー革命

 日本が小泉・安倍政権の下、ひたすら新自由主義に走り、外交的にはアメリカ追従するばかりで思考停止状態でいた間、世界は石油依存から離れ、環境エネルギーを軸とした政策・経済運営に大きく舵を切り、2歩も3歩も日本を引き離している。石油産業の保護のため、京都議定書を無視し、環境報告の改竄や言論統制を続けているアメリカ・ブッシュ政権下においてすら、アメリカの地方自治体レベルでは、積極的な二酸化炭素削減政策が取られ、環境ビジネスによる地域振興政策が進められている。
 しかし日本では、依然、小さな政府をめざした市場絶対主義の下、石油・原子力に依存した自由放任政策が続けられている。石油ショックへの対応で優等生と讃えられた日本も気が付けば、石油依存度・中東依存度は世界先進国の中で最悪の状況にあり、イラク戦争による中東の政局不安定化に対する危機意識が希薄な全てアメリカ頼みの脆弱なエネルギー政策が続けられている。
 「不都合な真実」やIPCC報告書を契機に地球温暖化への危惧が高まっているが、依然、政策的な対応を示さずにいる日本の政権を批判し、環境エネルギー革命に乗り遅れないよう、産業界・経済界に警鐘を鳴らす。地球温暖化危機への警鐘に留まらず、政策対応、特に経済政策について提言や注意喚起を行っている点が本書の特徴である。阿部政権批判が繰り返される点は鼻につくが、真摯に耳を傾け対応することができるかどうかが日本の近い将来を左右すると思われる。猛暑が続く中、背筋が凍り付く。頭は依然ぼうっとしてるけど。

  • 日本の政策立案者たちはなりふりかまわず、どのような分野でも市場原理を利用していけば、日本経済の閉塞状況を打破できると信じるようになった。・・・もはやそれは信仰に近い。(P078)
  • 誰もが、ブッシュが任期を終えたらすぐに、気候変動と代替エネルギーが米国の政治において中心的課題になるのはわかっている。(P187)
  • 公的部門を軽率に解体してしまうと、公正で民主的な社会を形成する能力を損なわせてしまうことになる(P204)
  • バブルとバブル崩壊を繰り返す経済は、至る所で深刻な格差社会を生み出している。・・・もはやこうした政策は持続可能性を失いかけている。・・・多様化した世界の政治と経済は、外交上も経済政策上も新たな戦略的行動を必要とさせる。だが、残念ながら日本だけは「米国についていけば何とかなる」と、思考停止状態を続けている。(P233)

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2007年8月11日 (土)

9条どうでしょう

 1.この本はどうして知りましたか?=ネットで。
 2.この本はどこで買いましたか?=書店で。
 3.この本を買おうと思ったのはなぜですか?=内田樹以外の3氏がどんな文章を書くのか、興味があったから。
 4.読み終わった感想はいかがですか?=町山氏はGood。平川氏は思った以上にしっかりとした考え方と文章を書く。小田嶋氏はブログで想像していたとおり。でも内田氏がもっとも面白かった。
 4氏とも、絶対護憲ではないが、今、改憲する理由が見あたらないと主張する。その点は私も同感。そこに至る筋道が4者4様で面白い。内田氏は、憲法9条と自衛隊の矛盾こそが日本を救ってきたし、これからもこの矛盾を抱えていくことが当面の日本の平和を維持するもっとも確度の高い戦略であると言う。町田氏は自身日韓のハーフにしてアメリカ在住の日本人として、アメリカやドイツの憲法を例に憲法の意義を説く。小田嶋氏は軽妙に9条の効能を説く。平川氏は現在の日本の抱える病の上に立って憲法の理想と現実のあり方を語る。
 そのいずれもが興味深く、かつ十分説得力がある。安倍首相は何をしたいんだろう。どういう国にしたいんだろう。焦土になり何もかもがすっかりなくなった”きれいな国”にしたいんだろうか。

  • 憲法九条と自衛隊は矛盾していない。だから、それを「矛盾している」とする前提を採用する限り、この問題には解がない。日本人は「解のない問題を考え続ける」という仕方で、現実に直面するという気の重い仕事を無限に先送りすることにしたのである。/それが「五五年体制」と呼ばれるものである。(P039)
  • 憲法九条と自衛隊の「内政的矛盾」は、日本がアメリカの「従属国」であるという事実のトラウマ的ストレスを最小化するために私たちが選んだ狂気のかたちである。そして、その解離症状から引き出しうる限りの疾病利得を私たちは確保してきた。それは世界史上でも例外的と言えるほどの平和と繁栄をわが国にもたらした。(P057)
  • 星条旗は国旗を焼き捨てる自由すら保障する国家の象徴だ。・・・アメリカの憲法は、旗を焼くどころか、政府と戦う権利すら保障している。・・・自由を脅かす圧政にゲリラ戦で抵抗する権利を保障している。革命を起こす権利を憲法が認めているのだ。(P088)
  • 人は誰も「国民」として生まれてこない。国民は「なる」ものなのだ。(P104)
  • 九条は国防放棄の規定ではない。国防のための条文だ。(P128)
  • 何故、日本人のうちのかなりの人たちが憲法を改正したい、しなくてはならないと思うに至ったかについては、・・・憲法の側に、あるいは日本を取り巻く世界の政治的な情勢の変化に起因するのではなく、こちら側、つまり日本人の心理の側に源泉を持っていると思える(P172)
  • 「現実」に責任をとるということは、「現実」に忠実であることではなく、「現実」を書き換えるために何をすべきであるのかと考え続けることである。(P194)
  • 戦争そのものを否定するという迂遠な「理想」を軽蔑するものは、軽蔑されるような「現実」しか作り出すことはできない(P196)

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2007年8月 7日 (火)

族長の秋

 長編作「族長の秋」に「大きな翼のある、ひどく年取った男」を始め6編の短編を加えた作品集。「族長の秋」は、中南米の一国を舞台に、独裁者の最後の姿、憂鬱にして不安な生活を延々と描いている。独裁者が死んだ後の大統領府を探索する私という形で始まるが、話はいつしか独裁者自身の独白になり、母親や愛妾が語る形になり、客観描写に変わりと、一つの文章の中で、語り手が自由に交錯するので、非常にわかりづらい。さらには全300ページほどにもなる長編の中に、1段落50ページほどの全く行替えのないパラグラフが延々と続き、この猛暑の最中、読むごとに暑さがつのり、いつしか頭がぼおっとして、睡魔に襲われる。
 大統領府には、独裁者の奇跡を願う病人がここかしこに現れ、牛が跋扈し、ハゲタカが跳梁する。そして、各パラグラフの始まりは必ずこの大統領府の描写と独裁者の死の場面が描かれ、繰り返される。その異様な姿と語り口が妙にマッチし、独特の魅力と困難さを覚える。ガルシア・マルケスならではの仮想と現実が交錯した奇妙な世界が展開される。

これでは生きているとは言えない、ただ生き永らえているだけだ、どんなに長く有用な生も、ただ生きるすべを学ぶためのものに過ぎない、と悟ったときはもはや手遅れなのだと、やっと分かりかけてきたが、しかしそのために、いかに実りのない夢にみちた年月を重ねてきたことか。(P421)

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2007年8月 4日 (土)

茅野市民館

 このところ恒例になっている夏の車山高原行の帰り道、今年の建築学会賞を受賞して話題の茅野市民館へ寄ってきた。駅の北側から近づくと、白い縞模様の外観と伸び伸びとした芝生に面して輝く大きなガラス面が目に付いた。正面入り口左側に、中庭に面して緑が青々とした駐車場がある。

 続きは、(遊)OZAKI組 建築アルバムからどうぞ。

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2007年8月 3日 (金)

NAGOYA 文化のみち/愛知県庁舎大津橋分室

 友人を頼って愛知県庁舎大津橋分室を訪ねた。ここは昭和7年に建築竣工した旧愛知懸信用組合聯合会館。その後、愛知県農林会館として利用され、昭和32年に愛知県が寄贈を受け、庁舎として利用している。現在は、法務文書課県史編さん室。愛知県の原始・古代から現代に至る多くの貴重な資料を収集し、県内外の研究者の方々の協力を得て、愛知県史の刊行を進めている。

 続きは、(遊)OZAKI組 まちなみ・あれこれからどうぞ。

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