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2008年1月23日 (水)

「法令遵守」が日本を滅ぼす

 1年ほど前に発行された本で、一時書店に平積みされていましたが、最近はあまり見かけなくなったカナ。友人から借りて読みました。著者が言いたいことを要約すれば、「今の日本では、法令と社会実態とが遊離しているので、社会的要請に応えた将来に向けて継続する組織体とするためには、法令遵守だけでは不十分であるし、時に組織を破滅に導く恐れさえある。コンプライアンスという言葉がかびすましい今の時代だからこそ、法令遵守だけにとらわれず、社会的要請をしっかり捉えた的確な組織運営を行っていく必要がある。」といった感じだろうか。
 日頃からコンプライアンス(法令遵守)という言葉に違和感を持っていただけに、非常に素直に受け入れることができた。談合問題、ライブドア等の経済事件、耐震偽装事件、パロマ事件などを題材に、高度経済成長期に談合制度が果たしてきた役割などを的確に評価しつつ、マスコミや行政の機能不全が法令遵守だけを問題にするいびつな現状を助長していると指摘する展開は説得力がある。「日本は法治国家か」「日本の法律は象徴に過ぎない」といった各章のタイトルも鋭く興味深い。
 では処方箋はというと、「環境変化を迅速に感知し適応できる組織になれ」という一般的な組織論になってしまうのはしょうがない。それぞれの組織や課題に応じて、異なった処方箋があり、それが正しいかどうかは「進化」の歴史が証明するのだろう。今の時代、それがわからないのがもどかしい。

  • 競争は常に万能で、あらゆる場合に善かというと、そうではありません。競争がその機能を発揮するのは、取引の当事者に情報が十分に与えられ、自己の責任で判断できる場合です。(P37)
  • 建築の安全性を確保することに関して建築基準法という「法令」がいかに実態と乖離していたかを認識し、建物の安全を確保するシステム全体を見直していかなければ、根本的な問題解決にはなりません。(P84)
  • 大切なことは、細かい条文がどうなっているということを考える前に、人間としての常識にしたがって行動することです。・・・本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界です。(P103)
  • 民から切断された官の世界は、法令の「内的世界」で自己増殖を続けているように思います。官僚は、自らが国家公務員倫理法の遵守を徹底する代わりに、民間企業には法令の遵守を徹底するように求めます。その法令が経済実態と乖離してしまうことが、法令遵守の弊害を一層大きなものにしているのです。(P112)
  • 私は、コンプライアンスを「組織が社会的要請に適応すること」と定義しています(P114)

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