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2008年4月20日 (日)

名古屋都市圏の住宅と住宅地のいまとこれから

 今年から都市住宅学会に入会した。もちろんその存在は知っていたが、設立時の経緯が国交省中心で声は掛かったもののしばらく様子見ということで数年が過ぎた。今回入会したのは、現会員のみなさんの強力な勧誘ということもあるけれど、その活動の活発さに惹かれた、ということが大きい。これまで建築学会東海支部住宅部会で県内各地の見学会を開催・参加してきたが、気が付いてみれば、その主要なメンバーが都市住宅学会に移動し活発な活動を展開していた。今回、中部支部の総会・研究発表会に参加し、改めてその活動の多様さ、活発さに驚いた。
 今回の研究発表会では、支部内に設けられた自主的研究組織である住宅市場研究会の3つの部会、郊外住宅地部会、賃貸住宅部会、住宅再生部会のそれぞれの研究報告が行われた。
 郊外住宅地部会では名城大の海道先生を部会長に、郊外住宅地の空地・空家調査に取り組んでいる。海道先生の報告の中では、アメリカ計画協会の「計画・アーバンデザインハンドブック」からの「土地利用変化のライフサイクルモデル」の紹介が興味深い。成熟期の土地利用コントロールが非常に重要、という当たり前の話ではあるけれど。続いて岐阜高専の二人の学生による岐阜市内郊外団地を対象にした調査研究発表が行われ、想像以上にしっかりした研究内容に感心した。大規模団地ほど空地・空家が少なく、小規模・孤立団地ほど深刻という指摘はなるほどと思う。
 賃貸住宅部会からは、まず始めに部会長の名城大・鈴木先生から住宅・土地統計調査と着工統計の分析による名古屋都市圏の賃貸住宅市場動向の分析、続いて東海学園大学の三宅先生から人口構造変化から見る民間賃貸住宅市場に対する知見報告があった。両者が共通して2000年以降の「需要なき供給」の反動を危惧していたことが注目に値する。海道先生による住宅情報誌の分析による詳細な賃貸住宅実態も興味深い。
 住宅再生部会からは、始めに椙山女学園大の村上先生による部会活動報告があり、多様なメンバーによる広範な分野を対象にした活発な活動状況にまず驚いた。青木茂氏のリファイン建築「リベラほうしょう」見学会など、ぜひ参加してみたかった。後半は同じ椙山女学園大の橋本先生による中古住宅の価値評価に関する研究発表。住宅の価値評価項目に対する事業者・居住者に対する調査等を元に、どういった項目(構造、日当り、バリアフリーなど)の評価が高いか、などを研究している。住宅性能表示の各項目の他に間取りや収納などのその他項目まで調査しているのは興味深いが、現段階ではまだ現状分析に過ぎず、今後これをどうまとめ、共通理解と将来展望のある中古住宅価値評価システムに組み立てることができるのか、乞うご期待。
 短い時間の中で駆け足でそれぞれの研究成果を聞くことができ、その点ではちょっとお得な特盛りパッケージ報告会。これまで学会大会に参加したこともないのでどう評価していいのかわからないが、研究者にとってこの学会が各自の研究に対する起爆・促進効果を与えているとすればよいことではないか。われわれ研究者以外の者にとってもこうして最新の研究動向を知り、研究者の方々と関わりを持てることは意義がある。特に中部支部は中心メンバーの意欲と人徳によるメンバーの多様さから、独創的かつ活発な活動が展開されているとのことで、これからのさらなる発展が期待される。そこに私がどう関わることができるのか、私自身、仕事も含めて新しい局面に入っていることを予感させる。さてどうなることか。

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