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2008年9月12日 (金)

地震と防災

 地震発生のメカニズムや地震の特性、震度観測の変遷と現状から、地震災害の歴史、地震研究の歴史や内容と最新の知見、耐震設計や地震動予測、さらには地震教育に至るまで、地震と防災に係るあらゆる最新の知識が非常にわかりやすくかつバランスよく整理されており、入門書として、また最新の成果を確認したい者にとって、最高の著書である。
 「なぜマグニチュードは地震発生後すぐに発表できるのか?」「原子力発電所の設計はどうなっているのか」といった私が日頃から疑問に思っていた事柄に対して明快な答えを与えてもらえただけでなく、「阪神淡路の”震災の帯”の原因」や「全壊の定義の変化」「活断層の本当の意味」など今まで知らなかった情報や知識も満載で、「面白くタメになる」とはまさに本書のためにある。
 最近、中国四川地震や岩手宮城内陸地震などの衝撃的な地震が多発している。マスコミは地震災害に対して相変わらずヒステリックな報道を繰り返しているが、適切な耐震対策を講じておけば現状でもある程度安心できる状況にあること、また日頃からの自然への愛情と理解が真の防災につながる道であることなど、この本を読んでこそ、地震に対して客観的かつ冷静に観察し対応できる気がしてきた。多くの人に本書を読むことを勧めたい。

●仮に距離100キロメートル相当の地点にウッド・アンダーソン型地震計があったとしたらどのくらいの最大振幅値になるかでマグニチュードを定義したのである。・・・マグニチュードMを地震のエネルギーに換算することがよくあり、Mが1違うとエネルギーが30倍違うといわれる。これはまったく後付けの解釈で、地震波の放射エネルギーを正確に評価するのは、現在の地震学の技術をもってしてもそれほど容易なことではない。(P87)
●震源断層が繰り返しずれ動き、何度も同じところで地表地震断層を生じた結果生まれる地形の傷跡のことを、活断層と呼んでいる。(P101)
●昭和25年ごろを境にして全壊の定義が緩くなり、その傾向は現在まで続いている。昭和21年に内閣から当用漢字表が告示され、・・・このため”全潰”と書かれていたものがすべて”全壊”と書かれるようになった。このことが定義の変化をもたらしたと指摘する人がいるが、・・・漢字が変わったからといって勝手に定義を変えてもいいというものではない。(P188)
●新基準で建てられたものでは震度6強で全壊するものはほとんどなく、震度7でも大多数は全壊しないものと推定される。(P191)
●盆地の縁、山の麓には必ずといっていいほど活断層がある。地震がなければ盆地も生まれず内陸部に都市ができることもなかった。(P217)

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