« 都市住宅学 第64号「200年住宅を考える」 | トップページ | 椿とともに散歩道を歩く-2009冬 »

2009年2月 4日 (水)

ここまで変わった 木材・木造建築

 建築の専門教育を受けた方はご存じのように、私もご多聞に漏れず、木造に対する知識は非常に乏しい。それでも多少の現場経験と耳学問でここまでやってきたが、仕事で木造4階建てといった言葉を聞く機会が多くなり、最新の木材・木造事情について確認しておきたいと本書を手に取った。もっとも、本当に入門書なので、この程度の知識を持って専門家というには誠に恥ずかしい限りだが、それでも「最近はそうなのか」と目を開かれる箇所も少なくない。

●木材の知識が欠けていることを心苦しく感じておられる建築業界関係者には、ぜひ一読をお願いしたい。(はじめにP6)

 と最初に書かれているが、全く同感。同様に感じておられる方は是非ご一読ください。とは言うものの、本書も発行されて早6年になろうとしているので、この最低限の基礎知識の上に最新の情報を積み重ねる必要がある。努力します。
 筆者は農学を学び、木質材料の研究を長くやってきた方なので、エンジニアードウッドを始めとする木質材料の解説が詳しい。私の関心は木構造の方にあったので、その方面の記述が相対的に少ないのはやや物足りなかったが、まずは材料が基本なので、本書で基本を確認できた意味は大きい。
 それにしても、木材の世界も十数年前からすると大きく様変わりしているらしい。品質保証された材が普通に流通しているのが現状であれば、確かに木構造の世界も大きく変わる。本書を疑うわけではないが、現実の実態をよく見極めた上で、今後の木造建築の方向についてよく考えてみたい。

●木材は強度の異方性だけではなく、収縮や膨潤にも異方性がある。このことが、木材の取り扱いを難しくしている一つの原因である。(P38)
●もちろん、大工さんが勘と経験(と度胸)だけで作ったからといって、その建物が危険だというわけではない。また構造計算をしたからといって、その建物が絶対的に安全であるわけでもない。その時点における工学的な知識により強度性能がそれなりに保証されているというだけのことである。(P77)
●EW化技術とは製品の5%下限値を高め、それを維持管理するために行う様々な工夫のことである。(P96)
●高気密・高断熱のようにちょっとした隙間も許されないよう構造が普及し始め、また部材の狂いが許されない構造用の金物が多用されるようになると、乾燥していない材が徐々に敬遠され始めた。そこに10年間の瑕疵保証を定めた品確法が1999年に登場し、クレームを恐れた住宅メーカーが雪崩を打ったように、乾燥した外材の製材や構造用小断面集成材などに鞍替えを始めたのである。(P136)
●どうもわれわれは「匠の技」とか「千年の歴史」という言葉に弱く、逆に「化学薬品」とか「工業製品」といった用語に対して妙な嫌悪感を感じてしまうことが多いが、このようないわば一種の思考停止状態に陥ることは避けるべきである。(P187)

|

« 都市住宅学 第64号「200年住宅を考える」 | トップページ | 椿とともに散歩道を歩く-2009冬 »

すまい・まちづくりノート」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/533157/27775951

この記事へのトラックバック一覧です: ここまで変わった 木材・木造建築:

« 都市住宅学 第64号「200年住宅を考える」 | トップページ | 椿とともに散歩道を歩く-2009冬 »