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2011年2月 2日 (水)

有松の古民家再生プロジェクト

 旧東海道に面した有松は、江戸末期の町家がよく残り、歴史的な町並みとなっている。名鉄有松駅から街道を西へしばらく行ったところに、目的の中升竹田邸がある。いや、あったというべきか。

Dsc01252_2 江戸末期と言われる旧町家は、かつては有松絞り関係の商家だったが、その後老朽化し空き家となっていた。所有者は広大な土地の活用を図るため、当初は取り壊してアパート経営を考えたらしい。しかし、ぜひ保存してほしいという周囲の声もあり、また今話題の河村市長(前?)の声掛かりもあって、保存しつつ活用していく方策を検討することとなった。

 今回、現地を案内していただいたのは、所有者から建物管理を受託している()クルーズの方。保存の期待は高かったものの実際に調査をしてみるとかなり老朽化しており、使える材を使用しつつ、従来の外観を復元するという方針で再生することとなった。

Dsc01260 街道に面した部分は店舗・飲食店等の商業的な用途も検討したが、観光者数もそれほど多くないこと、また周辺地域の高齢者人口が多いことから高齢者デイサービスセンターとして賃貸することとなった。またその背後には、和風黒塗りの外観を持つ木造2階建ての高齢者向け優良賃貸住宅を建設。敷地の南には高い楠と緑地が残り、歴史的な町並みに溶け込んだゆったりとした住環境が実現している。

 再生・復元に当たっては、名古屋市が開府400年記念事業として「有松まちなみ保存ファンド」を設置。保存に係る経費660万円を目標に募金を行った。有松まちづくりの会が発行する「有松かわら版 第6号」によれば670万円余集まり、残りは名古屋都市センターの「まちづくり基金」に寄付されたという。

Dsc01257  外観はきれいに保存されている。室内に入ると、思ったほどには古材が使用されていないことに少しがっかりする。大梁は45本、古材が用いられているが、1本を除き、途中で継いである。表に面して筋交いが設けられており、現行基準に適合させるためには仕方ない。しかし小屋組はあらわしとなっており、古家具なども入れられ、古民家の中という雰囲気は十分に伝わる。高齢者にとっては懐かしい気分がするのではないか。

 高齢者向け優良賃貸住宅は2階建て8戸の小さなものである。1偕に4戸。いずれも引き戸で入る。2偕に上がる階段が2ヶ所。これも1偕住戸の玄関引き戸に並んで設けられた引き戸を開けて入る。

Dsc01266  室内は1K、約33㎡。居室の壁には、緊急通報ボタンと生活リズムセンサー用の外出・在宅ボタンが並んでいる。つばめタクシーと契約し、緊急時には運転手が駆けつけることになっている。ただし有料3,150円。現在の入居者は誰も利用していいないそうだ。家賃は65,000円だが、収入に応じて市の補助が最大23,500円受けられる仕組みになっている。他に共益費7,000円が必要。駐車場も各戸1台ずつ用意されているが、利用者はほとんどいない。現在8戸のうち4戸が入室。1戸は入居後すぐに体調が悪化して退去されたそうだ。

Dsc01264_2  昨年の7月から入居を開始したが、思ったほど入居が進んでいない。()クルーズによると、高齢者向け優良賃貸住宅制度の仕組みとして、仲介業者への手数料等が認められていないことから、募集情報が高齢者にうまく伝わっていかないことを最大の原因として挙げていた。その他、入居資格があり、毎年、収入証明が必要になること、礼金が取れないことなど制度に伴う隘路はよく聞くところだ。

 入居者は近在の方や有松に縁のある方が多いと言う。デイサービスセンターがオープンすると、口コミでもっと広まるだろうか。表棟と住宅棟の間に広がる駐車場に面してベンチが置かれている。この空間で住宅居住者とデイサービス利用者の交流が始まれば、施設全体が生きてくるだろう。

●参考
フォトアルバム 「有松の古民家再生プロジェクト」

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