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2011年2月15日 (火)

三河田原駅周辺のまちづくり

 愛知県田原市は先進的かつ積極的に住宅施策やまちづくりに取り組んでいる自治体である。古くはHOPE計画に取り組み、市街地再開発事業に取り組み、中心市街地活性化対策に取り組んできた。以下のサイトは2004年9月に田原市を訪れた時のものだが、それ以前の記録もリンクを辿っていくと、色々と思い出される。
「住宅施策を考える:田原市の中心市街地活性化への取り組み」
 最近では、一昨年10月に市営住宅を訪問した。ちなみに、この住宅は2010年度の住生活月間大臣表彰を受けている。
「すまいづくり・あれこれ:低層RCで造る 田原市緑ヶ丘住宅」
Tahara1316 さて今回、田原市の中心、三河田原駅周辺の土地利用について検討したいという趣旨で見学会が開催された。これまで市の都市・住宅関係の委員会等に関わった研究者の方々が主だったが、私も昔のよしみで声をかけていただいた。
 最初に再開発ビル「セントファーレ」の会議室で、田原市の都市整備の経緯や現状について伺った。
 平成8年度に田原市の都市整備の方向について、 (1)市立図書館の整備、(2)渥美病院跡地整備、(3)市街地再開発の推進、(4)駅周辺整備の推進などを定めた。このうち(1)~(3)は整備が完了し、(4)も次第に形が見えてきた。
 しかし、市全体の人口は微減傾向で、中心市街地は微増とはいうものに単身向けアパートが多く、地区内には空き家や空き地が目立つ。空き家・空き地バンクも始めたが、登録物件が少ないのが現状である。こうした状況を踏まえ、今後の田原市の駅周辺地区の都市整備の方向について改めて検討したい。
 ざっとまとめると以上のようであった。この後、街に出る。
Tahara1320 住民参加型で整備された「はなとき通り」の延長の都市計画道路は、再開発ビル「セントファーレ」の横を通って、三河田原駅の西側に向かっていく。前に来た時はまだ多くの建物が建っていたが、来る度に減少し、もうほとんど道路にかかる建物は移転してしまった。道路の形が空地となってはっきりわかる。
 都市計画道路は三河田原駅の西側を通って、区画整理事業で整備された広幅員の道路に接続する。三河田原駅は豊橋鉄道渥美線の終着駅なので道路が線路を跨ぐことはない。現在、駅の南側に駅前広場を整備中だが、将来的には道路に沿って歩行者空間が回り、駅の南北をつなぐ予定だ。
 駅前広場の南側には、市の公共駐車場が建設されている。その西隣も市所有地でホテル誘致を図ったが、リーマンショック以降、保留となっているそうだ。公共駐車場は月極5,000円で鉄道通勤利用者が多いようだが、まだ半分ほどしか埋まっていない。道路整備予定地内の土地を無償で貸し出していることも原因だと言う。ちなみに渥美鉄道も駅構内の一部を月極で駐車場用地に貸し出している。
Tahara1329 駅前広場の東に戸建て住宅団地がある。住宅地と駐車場の東側、汐川との間の土地に、最近、2~3階建ての鉄骨造の民間賃貸住宅が数棟建設された。トヨタ自動車勤務の単身者や世帯を当てにしたもので、ほとんど満室のようだ。ちなみに川向こうに愛知県住宅供給公社の賃貸住宅が見える。こちらはRC造5~8階建てでその違いに驚く。
 汐川は民間賃貸住宅のある辺りで支流の清谷川が分かれ、駅の南側を区画するように流れている。清谷川の南側は田原福祉センター。そこから南の田原赤石土地区画整理事業は平成8年に完了している。
 川沿いを歩き、道路予定地を渡る。フタムラ化学(株)の田原工場だ(会社の沿革を見ると、子会社のフタムラスターチ(株)の所有になっているかもしれない)。既に工場としての操業は中止し、現在は研究施設として使用している。小規模だが、化学工場らしくいくつもの炉が聳えるさまは、工場萌えの対象になるかもしれない。地元の方にとっては、駄菓子を製造していた原野産業(株)の工場として懐かしいようだ。その北隣には漁網製造の工場もある。
Tahara1343 この後、自動車で県道北、汐川沿いの松下公共駐車場まで乗せてもらった。こちらは134台あり、ほぼ満車。周辺地区の居住者、企業通勤者が大半だそうだ。かつてはここで二七の市を開催していたが、現在はセントファーレの駐車場で行っている。ちなみにこの朝市の出店者は近在の農家などで、よく賑わっているとのことだった。
 帰りは町中の路地を通ってセントファーレまで戻った。途中には柳町公共駐車場、路地奥の空き地に鉄賃アパート、北には渥美病院跡地に整備された市営福祉の里住宅などが見える。
 見学会が終わった後、道中を一緒に歩いていただいた市会議員の方から「OIDEN MAP 田原まちなかものがたり」という小冊子をもらった。横幅がA4の半分の縦長変形、表紙も入れて48Pの小冊子だが、田原の中心市街地の歴史や案内、昔話などが満載。特に興味深いのは「まちなか時空地図」と題して現在の地図の上にトレーシングペーパーで幕末近い文化5年(1808年)の古地図を重ね合わせたページ。当時の通りや家中屋敷が今にどう残っているか、どう変化したかがよくわかる。これを制作したのはNPO法人たはら本舗。田原のまちづくりに向けた様々な活動を展開しており、田原市検定なるものも実施中だ。
 こうした市民活動がある街は心強い。見学会後に感想を聞かれたが、新しい民間賃貸住宅が建設されているのを見ると、田原の中心地としての住宅需要はそれなりにあると思われる。今後重要なのはこの民間需要をいかにコントロールするかではないか。市民と連携した行政力が今こそ問われる。トヨタ自動車(株)の好調にも陰りが見られる昨今、都市整備・まちづくりの優等生、田原市の今後が注目される。

●参考
マイフォト「三河田原駅周辺のまちづくり」

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