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2012年12月 4日 (火)

住宅サイドから考える道路の再生・維持・更新。問題は道路をいかに廃止するか。だが同時に宝の山でもある。

 笹子トンネルの事故には驚いた。最初、トンネルの崩落事故と報道され、数十年前の北海道での豊浜トンネル崩落事故を思い起こしたが、今回は天井パネルの落下による事故で、崩落という言葉は正しくない。
 その原因についても多くの専門家から様々な声が挙がっているようだが、老朽化によるボルトの切断というのはあまり考えられない。たぶんケミカルアンカーの抜け落ち、それもケミカルアンカーそのものが抜け落ちるというよりも、接着剤で一体化した周辺のコンクリートもろとも落ちたと考えるのが相当と思われる。その原因は、会計検査時にコンクリート厚さの不足が指摘されていたようであるから、コンクリートの劣化、または中性化が考えられる。もちろん現場も見ずに想像しているだけだから、実際のところはわからないが、犯人探しよりも今後の技術更新に役立つ原因追及が求められる。
 犯人探しといえばネクスコ中日本へさっそく家宅捜査が入ったようだが、それで何かわかるのだろうか。かえって原因究明や現場復旧のじゃまをしていないかと気になる。そういえば福島原発事故の際は、東京電力は家宅捜査を受けたのだろうか。あまりの違いにどうして?と疑問を持たざるを得ない。
 次々と道路を新設していった結果、インフラのメンテナンスがおろそかになっている、今後はインフラの維持管理に予算を回すべきだ、という意見が専門家から多く出されている。正論である。インフラの再生と言えば、住宅はまさにその先達として十数年前から建替えや改修が主流になっている。住宅関係者の立場から道路の再生について考えてみたい。
 住宅数は世帯数と連動する。人口は既に減少を始めており、世帯数もあと数年で減少局面に入るだろう。よって人が居住する住宅数も当然減少していくことになる。既に空き家が大幅に増加しているのはそのことを表している。
 空き家を魅力的に改修し(リノベーション)、新たな入居者を迎え入れる事業に取り組む業者も増えているが、一方で老朽化した空き家は解体撤去しなくてはならない。撤去後にまた新築・建替えできるのは利便性の高い土地に限られる。多くの土地は他用途への転換を考えざるを得ない。店舗や福祉施設などの建築物用地に転換できれば都市インフラの活用という観点からも望ましいが、当面は駐車場用地、そして将来的には農地などに転用となる土地も少なくないだろう。いや、積極的にそうした土地利用転換を考えることが、コンパクトシティ施策であり、縮小都市を考えるということである。
 さて道路である。道路の再生はいかにすべきか。当然、維持管理(メンテナンス)に力を入れるのは当然だが、人口・世帯が縮小し、経済規模も縮小する時代にあって、過大な道路インフラが存在する時代が到来する可能性も高い。もちろんいったん作られた道路は利用者がゼロになることはないが、バイパスの開通により通行量が極端に少なくなった道路は少なくない。これらの道路まで適正にメンテナンスしていくことは、これからの時代、おそらく困難だろう。たぶん、メンテナンス頻度を等級分けし、通行量の少ない道路のメンテナンスは手を抜かざるを得なくなるのではないか。
 そしてその先は廃道である。山間地の自動車も通れない道路の廃道というのは事例もあるだろうが、都市部の道路をいかに廃道していくか。今はまったく考えられないという人も多いだろうが、たぶんこれからはこれが最先端の道路計画・交通計画のテーマになる。
 たとえば既存道路の幅員を減少させ、接道する宅地所有者に売却することは考えられないか。減歩ならぬ増歩である。こうして事業費を稼ぎ、それをバイパス道路のメンテナンス費に充当する。そんな経営モデルを考えてみたらいい。いつだったか広大な道路拡幅用地を眺めて、ここに住宅を建てたら何戸建つのだろうと考えたことがあった。今はバイパスが作られ、通行量が減少した旧道を見て、沿道の狭小な住宅地の面積が広がればと考える。豊かな住宅地に再生できるかもしれない。
 いずれにせよ、今回の笹子トンネルの事故は、これからの道路行政に決定的な転換を迫る、そうした意味のある事故であり、またその教訓を汲まなくてはならない。

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