まちづくり・あれこれ

2009年12月 1日 (火)

「白壁・主税・橦木」の町並み保存活動

 都市住宅学会全国大会(名古屋)の見学会で名古屋市の白壁・主税・橦木町界隈を歩いてきた。最近、通勤帰りにこの界隈を歩いていくこともたまにはあり、見慣れた景観ではあるけれど、改修し一般公開後、まだ入館したことのなかった建物に入ることができた。またこの地区で町並み保存活動を実践している白壁アカデミアの牛田さんから最近の町並み保存活動の状況を聞かせていただき、大変有意義な半日となった。
6415 出発点は地下鉄「市役所」駅の出口。帝冠様式の名古屋市役所に愛知県庁、第9代名古屋市長・大喜多寅之助の旧邸である愛知県議員会館、旧名古屋地方裁判所の名古屋市市政資料館、カトリック主税町教会などを巡り、2時頃に最初の入館施設である旧春田鉄次郎邸に着いた。
 隣の春田文化集合住宅は外からしか見られないが、きれいに手を入れたお宅が垣間見える。旧春田鉄次郎邸は1階がフレンチ・レストランとなっており、見学できるのは主に2階の空間。ただし2階も1室はデザイン事務所が借用している。
6413 春田鉄次郎は陶磁器貿易商として財を成した人物で、武田伍一設計のこの建物は大正13年に造られ、平成11年に当主のご好意で(財)名古屋都市整備公社に貸し出され、一部が転貸しされている。レストラン部分の洋間の装飾がすばらしいと言われるが、2階の洋室も天井の漆喰模様やアールの付いた壁面との取り合わせ部分など、優美なやさしさにあふれている。
 続いて訪れたのが隣に建つ旧豊田佐助邸。豊田佐助はトヨタ自動車の現社長の祖父である喜一郎氏の父であり発明王の豊田佐吉の弟で、豊田紡績の社長を務めた人物。立派な鉄製の門の正面に洋館風の建物がデンと座り、その奥左手に和洋建築が並んでいる和洋併設の取り合わせが面白い。天井換気口の鶴に「とよた」のマークや格天井風の漆喰模様が質実剛健な感じがする。和室の金箔の襖の豪華さに目を見張り、2階の障子桟のデザインも面白く見た。
6417 ここで、牛田さんからこれまでの活動の経緯と現状について伺う。白壁・主税・橦木町の町並み保存については、昭和60(1985)年に名古屋市教育委員会が町並み保存地区保存計画を策定、原則2階以下、伝統的デザインの採用等を内容とする修景基準を定めている。
 私が初めて愛知建築士会主催の町並みウォッチングに参加したのは平成7(1995)年だから、もう14年も前のことになる。そのときには牛田さんも参加していたのかもしれないが、私はその後も時々この地区を訪れては、さまざまな活動の展開や町並みの変わりように驚き、また感心してきたに過ぎない。
 当時は井本邸と呼んでいた鐘木館の活動。白壁アカデミアによる講演会や研究活動。名古屋市による旧春田鉄次郎邸と旧豊田佐助邸の保存活用の取組み。そして二葉館の移築復元。こうしたある意味派手な活動の陰で、白壁・主税・橦木町地区にはマンション建設の波が押し寄せ、牛田さんたちによる地道な保存活動が続けられていた。
6431 牛田さんの話は白壁景観裁判から始まった。平成14(2002)年に積水ハウスが地区内に8階建て高さ30mのマンション計画を立てた。これに対して住民らは高さ20mを越える部分の建築禁止を求める仮処分申請を行い、これが名古屋地裁で採用されたのだ。しかしながら結局この仮処分は、積水ハウスが計画を7階建て高さ約25mに譲歩したことで住民の申し立てが取り消され、現在はその変更計画に即した建物として、地区内に聳え立っている。
 こうした状況を受け、牛田さんたちは「白壁・主税・橦木」町並み保存地区の住環境を考える会を結成。平成17(2005)年に「まちづくり憲章」を定め、住民に配布するとともに、主要な施設等に提示してきた。
6429 しかし、平成18(2006)年には大京が15階建て高さ47mのマンション計画を立て、住民説明を始めた。平成13(2001)年に名古屋市では広告・景観審議会条例が施行されており、これに基づき開催された審議会で大京の言い分は委員の不興を買い、結局、この土地は地元地権者の一人が購入し、現在はコインパーキングとなっている。
 牛田さんに言わせれば、この地区の住民は戦後近所付き合いがほとんどなく、コミュニティのない町だったと言う。しかしこうした事態が続く中で、ようやく地元住民からも町並み保存活動に主体的に参加しようとする人が現れ始める。平成20(2008)年から名古屋工業大学兼田研究室の協力を得て、地域の有力者を代表とする「白壁・主税・橦木まちづくり提案」発起人会が設立され、景観法の基づく都市景観形成地区の指定を住民提案するアクションを起こそうとする活動が動き始めた。そして今年に入り、住民の半数以上や公的施設管理者からの同意書を得て、名古屋市も地区指定に向けて動き出したという状況である。
6435 「コミュニティのない町だった」という言葉も強烈だが、そうした中で住民の心を動かしここまでに至ったというのは、心底、その活動の粘りと継続性に感心する。とは言っても、14年前に比べ、かなり雰囲気も変わってしまったことも事実。パーキングも増えたし、低層とはいえRC造打ち放しの建物や周囲をクリーム色の壁で囲まれた結婚式場もあり、高さ規制だけでは必ずしも武家屋敷町らしい景観が守られているとは言い難い。町並み保存の難しさを感じずにはいられない。
 豊田佐助邸を出て、次は鐘木館へ向かう。鐘木館の歴史について語り始めるとキリがないのでここでは省略。有志で共同賃貸していた時期を経て、現在は他の施設と同様、市が借り上げ、NPO法人に指定管理を委託している。きれいに改修された室内は、一部喫茶に利用され、和室は貸室として利用されている。また2階展示室のサンルームや浴室もきれいに整備され、瀟洒な雰囲気。玄関ホールのステンドグラスや2棟ある黒壁の蔵もいい感じだ。
6439 外に出るともうだいぶ薄暗くなってきた。二葉館に着いたのはもう閉館間際の4時40分。ステンドグラスや廻り階段と飾りランプなどを楽しむ。この後、URの賃貸住宅アーバニア主税町とともに残された主税町長屋門、モーニングパーク主税町を通り、白壁筋を西に戻って、料亭・か茂免、マンション白壁ハウスに残された旧豊田家の門・塀、料亭・樟、さらに鐘木筋に戻って大森家住宅、伊藤家住宅を見つつ、すっかり暗くなった道を地下鉄駅まで歩いた。
 改めてすばらしい町並みを、その保存に向かう努力の跡ともに振り返ることができた。景観形成地区の指定を受け、さらにその活動が広がっていくことを願って止まない。

●参考
 まちなみ・あれこれ:「白壁・橦木町界隈ウォッチング」
 まちなみ・あれこれ:「NAGOYA 文化のみち」

●マイフォト「「白壁・主税・橦木」の町並み保存活動」もごらんください。

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2009年4月19日 (日)

豊川稲荷門前のまちづくり

4669 豊川稲荷門前のまちづくりについては、『あいちまちづくりシンポジウム「地域が担うまちづくり・まちおこし」』で、豊橋技術科学大学の松島先生と「(株)豊川まちづくり そわか」の鈴木代表取締役から話を聞いた。その時に「何やら元気な取組みが豊川で行われている。一度見に行かなくては!」と思ったが、建築学会東海支部都市計画委員会恒例の春の交流会が豊川で開かれるというので、喜んで参加した。
 当日は豊川稲荷寺宝堂にて、豊川市建設部次長兼まちづくり推進課長の荘田さんから、「豊川稲荷表参道地区の都市計画の見直しについて」と題して、これまでの経緯と現在の活発な地域活動の状況について報告があり、ついで豊橋技術科学大学の松島准教授から「豊川稲荷門前の景観整備事業について」研究室の活動を中心に話を伺い、その後、まち歩きを楽しんだ。
4693_2 東海道の脇道・姫街道と伊奈街道の交差部に位置する豊川市は、1441年室町時代前期に開創された豊川稲荷を中心に発展し、戦前には海軍工廠もできて旧街道が拡幅整備されてきた。都市計画法制定に伴い、駅北側から豊川稲荷門前に至る表参道も現道幅員6mのところ12mに都市計画決定された。しかし整備は進まず、時代の変化に伴う商業環境の変化から、昭和55年には商業近代化計画が策定され、表参道も観光客を対象にした商店街振興を目指し、電線地中化と景観整備が提案された。しかし都市計画に基づく道路拡幅については、30年近く権利制限をしてきたことから、住民ワークショップにおいても、計画どおり拡幅すべきという意見と、現道のままにすべきという意見の両論が出され、まとまる気配がなかった。
 こうした状況に、二代目の若手経営者の中から、「ハード整備をすれば本当に経営状態はよくなるのか? 商業意欲の高揚の方が大事じゃないのか。」という意見が出て、「まずは自分たちでできることから始めよう」とソフト先行のまちづくりがスタートした。
4701 そこで行われたのが「元気軒下戸板市」。ただでさえ狭い路上に戸板を並べ、さらに人密度を上げてにぎやかさを演出。これが受けて、平成15年から毎月1回「いなり楽市」を開催するようになる。大道芸にフリーマーケット、そしてチンドン屋に市民主体のダンスやブラスバンド。市からの補助金は拒否し、イベント業者に委託することなく、すべて商店街店主たちの手作りで実施。年々盛大になり、今では2万人近くの人でにぎわう。そのためのミーティングも毎週木曜日に開催。毎回深夜まで語り明かし飲み明かしているという。
 都市計画道路の方はさまざま検討した結果、平成19年についに計画廃止。地区計画を制定し、地区施設道路として位置づけ、風格のあるまちなみ形成を進めることとしている。このため、住民主導で景観整備基準も制定。平成18・19年と松島研究室の下に社会実験を行った結果、平成20年度から景観補助を始めている。
 以上が荘田氏の話。続いて、松島先生から。
4713 平成18年度から実施した社会実験は、18年度はカバン屋、19年度は酒屋を対象に、研究室の学生たちにより、実測、住民投票による外観決定、そして工事を行い、さらに売上高や視線調査などを行い、結果の評価をしている。また店主参加のワークショップも開催し、景観整備ガイドラインの作成や補助制度の大要(補助率1/2、補助上限200万円=>実際には150万円で決定)を決めている。
 外観デザインは昭和レトロ。市内に住む琺瑯看板コレクターの協力も得て、レトロまちかど博物館をテーマに景観整備を進めている。また、まちづくり会社そわかの拠点「いっぷく亭」内にサテライト・ラボを開設し、地域に入ってのさまざまな活動や研究を続けている。
 「専門家の役割をどう考えるか」という質問に対して、「住民だけの時は景観整備までは進まなかった。専門家として実例を示すことで、次の一歩に踏み出せたのではないか。」と語っていたが、それはそのとおりだろう。しかし、社会実験で整備した店舗が必ずしもよい景観とは言えない。
4717 復元をするのではなく、レトロに整備している。すなわちニセモノを造っているのであり、表層のみの仕事だ。「外観からは瓦葺きに見える」ということを改修の工夫点として紹介していたが、「それでいいのか」と若干疑問。「昭和レトロ」をキーワードに、住民や来客の好感度を指標にした景観整備を進めるとすれば、今後も時代や意識の変化に対応し、常にフレキシブルに改修していくことが求められる。そうした姿勢が景観ガイドラインにどう表れているかと質問したが、「最終的には住民協議会で承認されればOKという柔軟な内容にしている」という答え。
 景観の善し悪しは結局は住民意識に拠ると思えば間違ってはいないが、今ひとつ十分には議論し考えられていない印象。松島先生がよいと言えばよい、ダメと言えばダメといった、専門家まかせになっていないだろうか。6月には映画監督の想田氏を迎え、景観ワークショップを計画しているそうだ。結局、松島先生はデザイナーであり、運動家なのだとナットク。稲荷門前に続いてもう一つの商業中心地区・諏訪地区の整備構想にも関わろうとしているそうだが、すべて松島先生に丸投げでほんとうに大丈夫か?=>豊川市
4721 この後、まち歩きに出る。豊川市まちづくり推進課の山本主査の軽妙な案内の下、豊川稲荷(正式には豊川閣妙厳寺)の見所、総門の小さな表札、本尊である千手観音を祀る妙厳寺本堂と守護神であるダキニ真天を祀る稲荷本殿、奥の院、100体はあるという霊狐塚などをめぐる。
 続いて門前表参道に出て、平成18年度社会実験のカバン屋・キング堂、20年度に改修したせんべい屋・手焼堂、シャッターをペイントしたHIKOSAKA邸、19年度社会実験の富岡屋酒店、そしていっぷく堂などを見て回る。それらは画像のとおり。
4723 続いて、ひとりで豊川駅や閑散とした歯抜け商店街の駅前通り、地区内の狭く魅力的な路地などを見て回る。最後に、5時半から懇親会。初代おかみさんの会・会長を務めた和食処松屋のおかみの口上を聞きつつ、おいしいお酒を飲む(ちなみに私はほとんど下戸なので、大して飲めない)。地元商店主たちの意識と取組みが商店街再生には一番の特効薬であり最も重要なものだと改めて痛感。若手商店主たちの活動が今の活況を生んだし、今後もそれがすべてのベースである。それをうまくサポートするのが専門家の役割だと思う。次は「いなり楽市」の日に来てみよう。
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【参考】
豊川市の中心市街地(2000.6.29)/中心市街地すまい研究会

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2009年2月 5日 (木)

椿とともに散歩道を歩く-2009冬

 昨年に引き続き、今年も常滑やきもの散歩道で、つばきをテーマに展示されたギャラリーを巡るイベント「椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ」が開催された。これで3回目。仲間内で「やりたい!」という声が出たら開催するという不定期イベントで、今年は少し準備不足で、事前告知も十分行えなかったが、それでも天気に恵まれ、そこそこの人出でにぎわっていた。
 「タウンキーピングの会」は今年も土管坂休憩所「旧渡辺邸」をお借りし、甘酒の無料サービスをするとともに、セントレアが一望できる高台の日当りのいい和室でお餅を火鉢で焼いて食べながらのんびりとした時間を過ごしていただいた。
 他に、常滑屋では椿をあしらったしつらえの中でお食事をいただく「召しませ 椿づくし」を開催。また、TO'sギャラリーでは富本泰二氏の器に伊藤圭祥氏の花を生けた「艶葉木」、名古屋芸大のギャラリー「art&design rin’」では「Tsubaki 1 rin」を開催した他、ギャラリー共栄窯を始めとする各ギャラリーでそれぞれ椿にちなんだ展示が行われた。
 「椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ 2009」
Imgp6093 私は1日(日)午後の当番だったので、少し早めに来て、普段はあまり歩かない散歩道の北側を廻って、土管坂休憩所に向かった。
 一昨年頃から、散歩道を東西に掘り割って通る市道沿いに、招き猫の屋外展示などが施されている。かつての窯場の風景を映したタイル画と歩道脇の巨大な招き猫を確認。この招き猫については、会の中でも賛否両論あったが、「そのチープさ、キッチュさが常滑らしい」と反対派も今やあきらめの境地。それがまた常滑らしい。
 タイル画のある交差点を北に向かうと、競艇ラーメンの店がある。楕円形の器に1cm以上ある分厚いチャーシューが2枚乗り、おにぎりがついて600円は安い。濃いめの醤油味もおいしい。
Imgp6090 その東の坂を上がると土管擁壁が出迎え、奥に野ざらしになった窯が見える。通り過ぎて坂を下ったところがギャラリー共栄窯。そこを右に折れ、黒壁の工場の前、植木鉢が積み上げられた作業場の脇の細い道を登っていくと掘割市道の上の陸橋に出る。椿や蜜柑に彩られた緑の木々と年月を経た工場や家屋がいい雰囲気を醸している。
 常滑と言えば土管など窯材を利用した擁壁が有名だが、石垣も多い。それが丸石だったり、無造作な欄積みだったり、また城郭風に反りを付けてきれいに積み上げたものありとさまざまで興味深い。この多様さも常滑の面白さの一つだろう。
 われわれ(タウンキーピングの会)が椿をテーマにしたイベントを始めたのは、瀧田家前のでんでん坂脇の椿が花を散らしたきれいな1枚の写真(「椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ」の冒頭の写真)がきっかけだが、今の時期、散歩道のここかしこに椿やさざんかが咲いている。日だまりの中、蜜を求める小鳥たちが鳴きながら飛び交う姿を追いかけるのは、至福の時間だ。
Imgp6085 歩道の上に出ると、巨大な招き猫にご対面。市道のコンクリート擁壁の上にも、何匹もの猫の遊んでいる姿が見られる(陶芸作品です)。
 この後はいつも見る風景。「art&design rin’」など協賛ギャラリーの展示を見つつ土管坂休憩所へ向かう。午後はもっぱら旧渡辺邸の台所で甘酒を給仕して半日を過ごした。若いカップルや幼い子供を連れた家族連れが多い。散歩道を訪れる人にも少しずつ変化があるようだ。
 さて、今年中にも常滑市は景観計画を策定する意気込みだ。いよいよ会の目的の一つが実現するかと思うと、今から楽しみ。この町の変化をさらに楽しんでいきたい。

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2008年11月24日 (月)

可児市桜ヶ丘ハイツの住民主導のまちづくり

 「各務原の景観まちづくり」を見学した後、続いて可児市桜ヶ丘ハイツに向かった。ここは、住民主導で地区計画の策定や様々なまちづくり活動が展開されており、今期の都市住宅学会で学会賞を受賞することとなった地区である。推薦をされた名城大学の海道先生の案内により、まちづくり協議会の副会長である河崎さんにお話を伺い、地区を見学させてもらった。
Imgp6074 桜ヶ丘ハイツは、不二企業(株)という民間ディベロッパーが開発を行った、計画面積300ha、1973年より入居が開始され、現在の人口が約9500人の大規模戸建て住宅地である。企業の方針により、60〜100坪とゆとりのある敷地、芝生舗装の歩道、自然石積みの擁壁など非常にレベルの高い住宅地開発が行われ、開発途中には私も見学に来たことがある。しかしその後、開発途中で企業が倒産。未着手の土地が競売にかけられ、今後の動向が非常に不安定な状況でもある。
 1997年に開発企業が経営難から近隣センターにパチンコ店の誘致をしたことから、住民のまちづくり活動が始まった。最初は「桜ヶ丘ハイツのまちづくりを考える会」が1998年に発足し、10名ほどの有志で定例の勉強会が始められた。その後2002年に「まちづくり懇談会・桜ヶ丘」となり、「桜ヶ丘ハイツまちづくり協議会」が発足するまでの4年半、ほぼ2ヶ月に1回のペースで会合が開かれ、地域の様々な問題を議論・検討していった。
Imgp6062 この間、基本的に役員が単年度任期である自治会の中に、年度を越えた活動を行う地区計画プロジェクトチームが設置され、地区計画の策定が検討された。もともと桜ヶ丘ハイツのうち、桜ヶ丘と皐ヶ丘の2地区は開発業者により建築協定が定められていたが、その後地区計画が都市計画決定された。1993年から入居が始まった桂ヶ丘は、当初より地区計画が決定されていたが、プロジェクトチームにより見直しが検討され、2007年に改訂された。改定後には、近隣センターの用途制限の他、フレンドリー・ガーデンという沿道1mの植栽規定などが定められている。
 「桜ヶ丘ハイツまちづくり協議会」には、移動支援、集う場つくり、開発計画の各視点からまちづくり検討と活動を行う3つの部会がある。移動支援グループでは、2008年1月から、可児市及び多治見市内を範囲に、会員制の移動支援活動を始めた。またお休み処担当では定例的にお休み処を開設し、お茶・お菓子とおしゃべりなどの交流会を開催している。
Imgp6068 現在、桜ヶ丘ハイツで最大の課題は、欅ヶ丘問題である。桜ヶ丘、皐ヶ丘と桂ヶ丘の間に横たわる約70haの欅ヶ丘地区は、開発企業が倒産後、競売にかけられ、土地ブローカーの所有になっている。一時は大規模ショッピングセンターという話もあったが、まちづくり協議会欅ヶ丘部会が中心となり、欅ヶ丘地区まちづくり計画(案)をまとめ、市と協議を進めていくうちに、商業者から撤退の申し出があった。その後、隣接地に大規模な配送センターを建設する計画が出て、現在、協議会が中心となり交渉を進めているところである。
 以上が、桜ヶ丘ハイツ内を見学後、桜ヶ丘公民館で河崎さんに伺った話に、海道先生による学会補足資料を参考にまとめたまちづくり活動の経緯と現状である。
 桜ヶ丘ハイツに着いたのが遅く、もう夕闇も迫る時間だったため、河崎さんに同乗してもらい、バスを走らせながら各地区を案内してもらった。さらに桂ヶ丘ではバスを降り、芝生歩道を踏みしめながら、フレンドリー・グリーンなどの地区計画の成果を実感した。
Imgp6071 各務原から続いた見学会の後、多治見駅前の居酒屋で、河崎さんも同席して交流会が開かれた。河崎さんは名古屋天白区の出身で、この春に定年を迎えたそうだが、まちづくり協議会の他、2006年に行政・市民・議員らで設立した地域づくりフォーラムの代表を務め、また「可児市めだかの楽校」という環境活動にも中心的に関わっている。退職しても毎日忙しいと楽しそうに笑う。
 桜ヶ丘ハイツが住宅地として非常にレベルの高い整備がされていることは知っていたが、これほど活発で多様なまちづくり活動が展開されていたとは知らなかった。まだまだこれからの街である。なお一層がんばっていってもらいたい。

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2008年11月21日 (金)

各務原の景観まちづくり

 都市住宅学会中部支部の見学会で、岐阜県各務原市と可児市を見学した。秋の午後からの見学会で、明るい時間が短く、駆け足で巡ったものの可児市に着く頃はもう夕闇が迫り、あわただしい半日となった。まずは各務原の景観まちづくりから。
 まず最初に、「学びの森」横の那加福祉センターで、各務原市景観計画の概要を伺う。人口約15万人の各務原市は、名古屋市、岐阜市へのベッドタウンでもあり、県内第2位の工業出荷高もあり、さらには市域に自衛隊基地も抱えることから、人口も順調に増加し、財政的にも比較的ゆとりのある自治体と思われる。
 現在3期目を迎える現市長のリーダーシップの下、平成18年4月に景観法に基づく景観計画を策定した。濃尾平野の最北部に当たり、北に山、南は木曽川に挟まれ、東西に中山道が走る多様な自然と文化を備えた市の特徴を生かし、市内全域を森・まち・川・田園と歴史の4つの風景区域に分け、テーマと方針を定めている。市内全域に地区に応じた高さ制限をかけるとともに、高さ20m超・延べ1,000m2超の大規模建築物等に対する届け出制度を規定している。また、テクノプラザ、グリーンランド柄山の2つの景観地区と、9つの重点風景地区を指定。テクノプラザ景観地区では景観協定も締結している。各務原の景観基準の特色に一つに、色彩ガイドラインをマンセル表色系で明確に定めていることが挙げられる。重点風景地区内における新築・増改築等は届け出・審査が義務づけられ、さらに景観アドバイザー、景観審議会といった制度も整備されている。また、中山道鵜沼宿の歴史的建造物のうち15物件を景観重要建造物に指定しており、修景整備に対する助成も行っている。また、県を隔てた木曽川対岸の犬山市と木曽川景観協議会を組織している点も特徴の一つだ。
Imgp6033 「学びの森」は、まっすぐに続く並木道が「冬のソナタ」のロケ地となった春川市南怡島の並木道とそっくりだということで話題になった。ちょうどイチョウが黄葉のまっさかりで、美しい景観を見せていた。来月にはイルミネーションが飾られ、多くの人を集める。各務原市は韓国春川市と姉妹都市提携をし、各務原キムチなども積極的にPRしている。
 「学びの森」そして隣接する市民公園や中部学院大学ともども岐阜大学の跡地で、全部で12.3haほどもあり、有効に活用し、都市ビジョンである「公園都市(パークシティ)かかみがはら」づくりを進めている。市民公園の西に流れる新境川沿いには桜並木が整備され、春には30万人近くが訪れるという。
Imgp6039 市の北西端になるグリーンランド柄山地区は、積水ハウスが分譲している面積4.3ha、126区画の戸建て住宅地で、景観地区に指定されている。分譲時から宅地裏路地を利用した電線地中化や壁面後退と緑化など、景観に配慮した整備がされていたが、それを将来とも担保するため、既に一部住民が居住していた状況ながら、住民協議を重ね、景観地区に指定した。ただし景観地区として定められる事項は、高さ・色彩、壁面後退、敷地面積、意匠形態に限られるため、景観形成ガイドラインを作成し、緑化や外構についても自主規制を行っている。東に聳える権現山を背景に、グリーンランドにふさわしい自然豊かな景観が美しい。
Imgp6043 次に、同じく景観地区に指定されたテクノプラザ地区の横を通り過ぎ、「瞑想の森 市営斎場」に向かう。設計・伊東豊雄建築設計事務所、周辺環境デザインを石川幹子が担当。西側に広がる山並みに合わせ、雲のように漂うシェル構造の白い屋根が特徴だ。外壁はほとんどガラスで覆われ、建物に面して配置された池と一体化している。室内も、流れるような曲面天井にリジッドな大理石壁面。その足下はゆるくアールを描いて床面と一体となっていく。グランドピアノが置かれ、コンサートが催されたこともあるとのことだ。
 斎場を出て、市の中心街路を東に向かう。沿道7kmの区間にイチョウ並木が美しい。剪定はしない方針を市長が宣言し、電線には防護チューブが巻かれている。落ち葉の掃除は、市も年4回実施するものの、基本的に市民管理とし、ゴミ袋の無料配布を行っている。また屋外広告物規制もしており、市民ボランティアのビューレンジャーが張り紙剥がしの活動を行っている。
Imgp6050 各務原市の西端から東端まで、30分近くも車を走らせ、ようやく鵜沼宿へ。重点風景地区として、「宿場町としての歴史的まち並みの再生」をテーマに、風景形成基準を定めるとともに、まちづくり交付金を活用し、菊川酒造(株)本蔵など景観重要建造物の修景や町屋館の整備、脇本陣の復元等の整備を進めている。時間がなく、町屋館の見学しかできなかったが、2階のむくり天井など見所の多い建物である。江戸時代は旅籠を営み、昭和39年までは郵便局として使われていた商家で、濃尾地震で倒壊した後、明治末に再建されたもの。今回の整備に伴い、主屋を1mほど曳家し、付属屋・離れともども登録文化財に指定されている。旧中山道の市道鵜698号線は非常に交通量が多く、駐車場からの横断もままならない。再生計画では水路を復元することとしており、住民との協議が進められている。
 以上、非常に早足で各務原の街を西から東まで通り過ぎた。景観計画では、村国座や晩松園(旧川上別荘)、ごんぼ積み集落地区などが重点風景候補地区に挙げられており、まだまだ多くの見所がありそうだ。また機会をつくって見て回りたい。

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2008年7月 8日 (火)

城下町・犬山・まち歩き

 国宝・犬山城のお膝元の城下町に高層のビジネスホテル建設騒動が持ち上がり、犬山市に景観条例ができたのが平成5年。平成6年からの2年間、この街の景観まちづくりに多少とも関わったことがあったが(ほとんど何もできなかったが)、地元(市・住民)の努力によるその後の変化には目を見張るものがある。週末、妻が「どこかへ行こうよ」というので、ガソリンの高騰もあり、尾張パークウェイの無料化もあったので、近場の犬山を久しぶりに訪れることにした。
Imgp5934 わが家から車で30分。尾張パークウェイを快適に飛ばすと、あっという間に木曽川河畔に出る。犬山城を眼前に眺めながら、名鉄犬山ホテル横の坂を上るとすぐに城前の広場に出る。前は体育館前の空地が駐車場になっていたが、今はきれいに整備され車を駐めることができず、有料のキャッスルパーキングへ回る。時間無制限で200円なら安いし、このいくらかでも景観整備費に回るのであれば、協力しなければと思う。
 それにしても暑い。お城前の本町通りを下っていくが、相変わらず地元の車がひっきりなしに通る。通りの東側にこぎれいな広場が整備されていた。「大手門いこいの広場」。板土塀に囲まれた一角に、芝が張られ、四阿と大手門が建てられている。誰もいない。この暑さだし。しばらく先の左手に民家を活用したまちの駅「しみんてい」がある。NPO法人犬山市民活動支援センターの会。HPを見るとさまざまな市民活動に年間100万円程度の助成を行うとともに、活動の場の提供などの支援を行っている団体らしい。最近の犬山の市民活動の盛り上がりを象徴する団体ということか。私はただの無料休憩所かと思って、トイレを借りて出て来た。
Imgp5881 しばらく行くと「FM84.5」の幟。通りの西側、民家の中で、愛知北エフエムの生放送をしていた。軒下に「犬山まちづくり株式会社 弐番屋」の看板がある。平成12年にできた犬山市中心市街地活性化基本計画「城下町新生計画」に基づき設立されたTMOで、市と商工会議所等が出資して作った第3セクターのまちづくり会社。「弐番屋」はこの会社が展開するSHOP事業の店舗で、愛知北エフエム放送(株)が入っている民家が1号館。昨秋には2号館が南側数軒先にオープンした。このまちづくり会社は駅西パーキングの経営の他、チャレンジショップや空店舗活用事業などを実施している。
 愛知北エフエムの南隣が井上邸。井上印刷の看板が掲げられている。登録有形文化財指定。この三叉路の周りには、他にも山田五平餅店やなつかしやなど、古い民家を活用した店舗が多く集まっている。若い女性を相手にする親父店主の姿が見られ、まあいいことかなと。
Imgp5898 この交差点を東に向かった。三井邸の立派な土蔵と美しい格子窓の外観もさることながら、景観に配慮した新しい建物もいくつか目に入る。また、材忠邸や寅屋などの古い建物も健在。道路がカギ状に曲がった余坂の木戸に面して、ぎゃらりぃ木屋がある。ちょうど藍染作品の展示をしていて妻がつかまった。扇風機にふかれてしばしの涼を楽しんでいると、麦茶を出していただいた。申し訳ありません。木戸跡の先に「余遊亭」という名前のまちづくり拠点施設がある。当日は子どもたちが中庭に集まって、何かの作品づくりをしていた。こうした見通しのよい明るい施設がまちかどにあるのは、まちの活気の表出という意味で効果がある。おしゃれだし。
 道を戻って、寺内町の石畳を南に下っていく。道に面して間口は狭いながらおしゃれな家が見られる。景観まちづくりが進められる中で、市民の意識がこうした形で表れていることを嬉しく思う。南北の道を抜け、寺内町通りを西に戻る。お寺の土塀が目立つ。鍛冶屋町を南に下り、駅前通りを西に向かう。本町通りの入り口東角に目立つ大きなお屋敷が真野邸。本町交差点の南に並ぶ3階建てのビルは昭和40年代初頭に下本町防災建築街区造成事業で建設されたもの。
Imgp5915 本町通りをお城に向かって北上すると右手に、中本町まちづくり拠点施設「どんでん館」。城下に最近整備されたいくつかの施設と同様、街なみ環境整備事業で整備されたもので、山車蔵に似せた近代的なファサードの中に、3台の山車が展示され、音と照明の演出により、早朝から夕焼け、月が昇る夜までの祭りの日の1日を感じさせてくれる。こぢんまりとした展示ながら良質。和室でお茶のサービスもあり、なかなかよかった。
Imgp5925 この界隈も古い民家を生かした店舗が多い。その中に、むくり屋根がめだつ上品な商家がある。登録有形文化財旧磯部家住宅。土産物にばかり目を向けていると通り抜けてしまいそうな外観だが、入館無料で非常に充実した保存がされている。入り口の土間・板の間から番台、清浄とした仏間・座敷。紅殻に塗られた渡り廊下・中庭を経て、裏座敷、土蔵、奥土蔵、物置。旧呉服商・柏屋として幕末慶応年間に建築され、土蔵の類は明治初期の建築。その後、製茶・販売業に転じ、倉庫として利用されていたものを、市が譲り受け、平成16年から17年にかけて復元改修を行い、公開された。
Imgp5933 寺内町通りまで戻る。北東に遠藤邸。南東の民家もよく整備されている。通りを西に抜けて帰りは大本町通りを北上する。比較的広い幅員にインターロッキング舗装の通りは、商家中心の本町通りとはだいぶ様相が異なる。昔は武家町だったと聞くが、今はポツポツと長屋も残る住宅街となっている。遮蔽物がなく直射日光を浴びてすっかり暑さに参ってしまった。犬山北小学校の修景された板塀をぐるっと回って、ようよう駐車場にたどり着く。
 久しぶりに訪れた犬山の城下町は、思っていた以上に整備され、訪問者もそこそこ賑わい、いい感じ。15年近く前に書いた「犬山北のまちづくり」のHPを久しぶりに読み返したら、「50年100年続くまちづくりをしよう」と書かれていた。今度はいつ訪れようか。その時にはまたどう変化しているだろうか。
 マイフォトもごらんください。

(参考)
犬山市の中心市街地 【中心市街地すまい研究会】
犬山北のまちづくり 【まちづくり・あれこれ】

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2008年2月 5日 (火)

椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ

 2月2日(土)3日(日)の2日間、常滑やきもの散歩道でつばきをテーマに展示されたギャラリーを巡るイベント「椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ」が開催された。前回は2年前に開催し、今回が2回目。私はこのイベントの主催団体「タウンキーピングの会」の一員として3日の午後、土管坂休憩所「旧渡辺邸」でお手伝いをしてきた。3日はあいにくの小雨日和で、ひと足も少なく、身内で火鉢で餅を焼いて楽しんでいただけという気がしないではないけど、それでも散歩道に関心を持っていただいた若いカップルやシニア夫婦などが入れ替わり立ち代り訪れ、セントレアまで見通す丘上の景観を眺めつつ、しばしの暖と会話を楽しんでいかれた。

Imgp5773 今回、土管坂休憩所「旧渡辺邸」では、甘酒の振る舞い(無料)と地元大蔵餅のつばき餅に芳香園のお抹茶セット(300円)、常滑焼の器付のこだわりオリジナル弁当「椿弁当」(限定50食3,500円)をお出しした。甘酒は両日とも早くに品切れとなり、それを楽しみに来ていただいた方には申し訳ないことをしたが、お抹茶、椿弁当とも盛況な売上げで、みなさんどうもありがとうございました。

 この他、今回は次の4カ所で展示を行なった。以下、その状況を私が回った順番で簡単に報告します。

Imgp5782 まず、廻船問屋瀧田家。華道家・斎田月紅さんが主宰する「斎田月紅社中展」は、瀧田家のここ彼処に椿を使った生花が飾られ、屋敷全体を華やいだ雰囲気にしていた。入り口のお出迎えの花、蔵の前の大きな鉢、石積擁壁上のディスプレイ、石倉の中の大胆で華やかな展示、見送りのナンテンの鉢など、それぞれがとても楽しめる展示だった。残念ながら椿の花が少し早くまだ蕾のものも多かったが、4日以降もしばらくこのまま飾っていただけるとのこと。満開の椿を見たかった。

Imgp5786 art&design「rin’」+名古屋芸術大学常滑工房ギャラリーでは、3人の若手女性アーティストによる現代アート展を開催。古い工場跡の建物を生かして展示された絵画やオブジェ、映像などの作品は独特の雰囲気を醸し出していた。個人的には、rin’を共同主宰し作品を指導している坂倉先生と、常滑の古い町と空港開港に伴う郊外化との関係について話ができたのが一番の収穫だった。先生はパリの郊外のスラム化を例に挙げ、常滑の街の郊外化に伴う社会的文化的問題に散歩道が果たす役割があるのではないか、といったことを話されていた、と思う。

Imgp5795 我々の根城「常滑屋」では、陶器職人の集まりである炎友会による「椿と陶片」と斉田月紅、河村冨代子、伊藤悦子の3人による「土と椿の悠遊展」が開かれていた。床一面に笹の葉が撒かれた上に大小の青竹が縦横に並べられ、大きな時代物のテーブルに陶器や陶片と椿が乱舞している。まるで竹林の異幻境を彷徨い歩いているように時と空間の座標がゆがんで感じられる。非常に面白い空間が現出した。

Imgp5812 最後に回ったINAXライブミュージアムでは、陶芸家・冨本泰二先生による「早春・椿一輪」。陶楽工房ギャラリーの小さな一角に、茶黒く古びた竹に椿をあしらった作品はこの白く狭い空間に凛と張り詰めた緊張感を与え、清涼感と屹立とした感覚の見事な独自の世界を醸していた。ちなみに全くの門外漢なのでポイントをはずしていたらごめんなさい。それでも確かに皆さんが絶賛されるような芸術がここにはあったと思う。

Imgp5762 今回、上記の5会場に加え、7つのギャラリーなどでも協賛をいただき、椿に関わる展示をしていただいた。名鉄常滑駅前の常滑市観光プラザ・ギャラリーceraでは書道作品と陶芸が協奏する「荒木一夫展 椿」、椿が一面描かれた器がテーブル一面に並べられ小さなお花畑のような「早春の出会い 大島和子陶展」を開催したギャラリーCoCoLo、3人の作家による「椿柄の器」展を開催したほたる子、ギャラリー雄の「一輪の椿と花入れたち」、茶楽の「やきもの椿展」、写真家・谷川英治氏の写真展「風をよむ」のギャラリー煙、そして昨秋の11月に空店舗を活用してオープンしたとこなめ中央商店街「ギャラリー常盤蔵」。最後の常盤蔵では管理をされている障害者支援団体の「ねこの手」の方にいろいろ楽しい話を伺ったが、それはまた別の報告に回します。

 ご協賛いただいた皆さま、今回も椿をたっぷりと頂戴した安養寺さん、作家の皆さん、そして期間中来場いただいた皆さまに心から感謝したいと思います。どうも皆さま、ありがとうございました。

 マイフォトもごらんください。

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知多半田駅前 CLACITY HANDA

Imgp5736 久し振りに名鉄知多半田駅に降り立ったところが、ホームから見られる景色が大変貌を遂げていてびっくりした。知多半田駅前地区市街地再開発事業が完了し、再開発ビル「クラシティ半田」が完成オープンしたことは知っていたが、こんなにすごいとは思っていなかった。

 5年ほど前に建築学会東海支部住宅部会で訪れたときはまだ再開発ビルは着工もされておらず、駅前通りにはまだ商業店舗が建ち並んでいた。その時の見学会の状況を見てもらうと、その変貌ぶりと私の驚きが理解してもらえるであろうか。その当時の「半田市の中心市街地」を巡って交わされた説明と議論では、TMOとして設立された株式会社タウンマネージメント半田が、株式会社方式で大変意欲的かつうまく動いていることに感心した記憶がある。

Imgp5738 さて、クラシティ半田である。知田半田駅の改札を出ると、そのまま長いデッキがクラシティ半田に向かって伸びている。そののびのび感が気持ちいい。駅前ロータリーを見下ろしつつ数十メートルも歩くと、クラシティ半田の中に吸い込まれる。入った正面に半田市市民活動支援センターのカウンターがある。が、子育て支援センターも併設されており、子供たちの声が響いて、明るくなごんだ雰囲気がする。入ってすぐ右手にはカフェ、左手はギャラリーとなっており、外からの光に満ちて気持ちいい。ちなみにここは3階。右手奥のエレベーターで1階、2階に降りると、飲食店や美容室、雑貨、ベーカリー等の小口のテナントが並び、けっこう賑わっている。フロアの南北に知多信用金庫と三菱東京UFJ銀行が立地していることも客足を集めている要因かもしれない。

Imgp5732 4階、5階は市営駐車場となっており、7階から17階までは(株)大京による分譲マンション「ライオンズタワー半田」となっている。設計は(株)アール・アイ・エーで2007年度グッドデザイン賞を受賞している。

 昼は少し足を伸ばして、T's CAFE まで行く。と言ってもホンの200mほど。旧中埜家住宅の洋館は、前に訪れたときのままの姿を見せている。スリッパに履き替えてランチをいただく。おいしい。

Imgp5748 食事後、駅まで戻り、区画整理地区を一巡りしてみる。駅前広場を廻り、クラシティ半田の南側の道路を東に向かう。片側1車線に電線地中化された気持ちのよい道だが、銀行の支店が建っているだけで、まだまだ空き地が目立つ。空き地を見下ろすように、高層アパートがここかしこに林立している。戸建て住宅地が並ぶ中にそびえるホテルがある。耐震偽装事件の被害者としてたびたびマスコミに顔を出していたセンターワンホテルだ。結局、被害者面して同情を集め、またこうして立派なホテルを建てたとすれば、なかなかのやり手と言える。周りの低層住宅を睥睨するあたりが人間性を表しているかのように感じる。

 区画整理地区の東端の県道名古屋半田線も北側半分ほどは拡幅工事が終わり、マンションや商店、住宅などが建設されてきている。

Imgp5756 クラシティ半田の北側の道を駅に向かって歩くと、瓦屋根をのせ蔵造りを模した交番が見えてきた。そういえばこの道がかつての商店街通りだった。こちらも電線地中化されかつての面影はない。全く別の街が出来上がりつつある。通りに面して広い駐車場を開いたコンビニの角に小さな蔵がある。コンビニ側に廻ってみるとお稲荷さんが祀られていた。なんかとってもキッチュで不思議な感じ。

 ぐるっと廻ってほんの30分ほど。クラシティ半田がとにかく印象的。あとは今後どんな街になっていくのか、乞うご期待といったところ。しかし改めて区画整理は全く新しい街をつくる事業だということを感じた。この街がかつてのように賑やかになるだろうか、と考えるのは間違っている。全く新しい街をつくるのは全く新しい人と時間だと思い知るべきだ。この街の未来はこの街を使う人たちのがんばりによるということだろう。クラシティ半田はとりあえず正しい布石を投じたと評価してよいのではないか。

その他の画像は、マイフォト「知多半田駅前 CLACITY HANDA」をごらんください。

(参考)

半田市の中心市街地 【中心市街地すまい研究会】

半田のまちなみ見学 【まちなみ・あれこれ】


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2008年2月 4日 (月)

まちづくり・あれこれ

 各地で、住民が主体となったまちづくりが行われています。これらのうち、私が仕事で関わったり、見学会等で訪問して話を伺ったりしたものを紹介します。
 なお、まちづくりは生きています。話を伺ったときと現在では状況が異なるものもあるかと思いますが、ご承知おきください。

 2007年以前の記録はこちらへ    2001年以前の記録はこちらへ

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2007年9月26日 (水)

岐阜のまちづくり/岐阜シティ・タワー43と玉宮通り

 2004年の春に訪問してから3年半。当時はまだ計画だけだった駅西の再開発地区に、計画どおり、地上43階の超高層ビルが立ち上がった。いよいよ来月8日に竣工式と記念シンポジウムが催され、グランドオープンを迎える。その前の忙しい中、都市住宅学会主催の見学会が開催されたので参加した。

 続きは、(遊)OZAKI組 まちづくり・あれこれからどうぞ。

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