すまいづくり・あれこれ

2009年10月24日 (土)

低層RCで造る 田原市緑ヶ丘住宅

 今年3月に紹介した稲沢市営西島住宅が、今年度の優良住宅団地として住生活月間国土交通大臣表彰を受けた。それほど大した住宅とは思わないが、買取制度の活用と高齢者福祉施設との併設が評価されたのだと思う。
6280 平成20年度は岡崎市土井住宅が受賞しており、愛知県内の市営住宅が2年連続で表彰された。土井住宅は、低層住棟2~3棟をデッキでつなぐ囲み型配置を採用した意欲的な団地で、コモンスペースが入居者にも好評だと聞いた。
 同じ低層主体の団地を田原市が建設しているというので見学に出かけた。合併前の旧田原町の中では西に位置する市営緑ヶ丘住宅で、従前40戸の老朽住宅を5棟69戸のRC造に建替を行っている。近接市有地に従前入居者用住棟1棟27戸を先行建設することで、仮移転のない建替を実施。残り4棟は北側2棟を3階建て、南側2棟を平屋建てとし、3階棟にEVを設置することで全住戸バリアフリーを実現している。また、将来の間仕切り変更に備えたスケルトン・インフィル方式やオール電化設備を採用、高齢単身者などの小規模世帯に対応して2K住戸(約48m2)を半分以上の39戸建設するなど、意欲的な取組をしている。
6282 平屋住棟についてはもっと高い住棟を建設する敷地的なゆとりはありそうだったが、地域的な需要を勘案したとのことで、必ずしも環境的な配慮のためばかりではないようだが、気持ちのよいのびのびとした空間ができている。
 渥美町との合併後、田原市には久しく来ていなかったが、立派な市庁舎も完成している。田原駅前の道路沿いがまた一段と空き地化が進んでいるが、再開発ビルや公園整備なども進み、次第に現代的な都市に変化しつつある。トヨタ自動車の業績に大きく影響を受ける自治体の一つでもあり、市役所の方からはそうした苦労も聞かせていただいた。しかし地域の市民パワーとそれをバックにした職員の意欲や独創性は健在であり、渡辺崋山伝来の人の力・地の力を生かし、さらに前に進んでいくことを期待したい(Sさん、Oさんへのエールを込めて)。

●マイフォト「田原市緑ヶ丘住宅」もごらんください。

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2009年9月25日 (金)

エコビレッジ志段味 もうすぐ完成

6167 荒川修作の奇抜なデザインで注目を集めたシティファミリー志段味を囲んだ広い敷地が昨年度から仮囲いで囲まれ、建築工事が行われてきたが、いよいよ最近仮囲いを外し、その全貌が見えるようになった。エコビレッジ志段味である。総戸数約200戸を予定するが、とりあえず今回完成するのは第1期分の74戸。特定公共賃貸住宅で中堅所得者世帯向けの定住促進住宅だ。
 名古屋市がめざす「循環型環境都市」のモデル的な位置付けの下、環境に配慮したさまざまな技術や取り組みが仕組まれている。太陽光発電やエコジョーズ給湯器、雨水貯留槽、共同生ゴミ処理機の設置、壁面緑化、ビオトープ、共同菜園の配置などの設備・仕様に加え、三面採光や風光ボイド、中庭を中心とした囲み配置など、住宅計画的にも意欲的な試みを行っている。加えて、住棟のカラーリングを椙山女学園大学の村上研究室に依頼して、見るからに楽しく目を惹く住宅となっている。
6187 敷地面積12,582m2に対して、建築面積2,387m2、延床面積6,139m2と非常にゆったりとした配置となっており、住棟は4階建てのRC造。74戸のうち70戸は66~68m2の2LDK、78m2・3LDKは4戸という構成。家賃はそれぞれ66,000円と74,000円だが、就学前の幼児がいる子育て世帯は2割引になるという。既に募集は終了しており、3LDKについては8倍を超える倍率、2LDKについても全体では1.3倍程度で、空住戸の再募集に対しては2.6倍の倍率がついたそうだ。
 もう一つの売りは子育て支援室が併設された集会所で、こちらは木造平屋建ての240m2。授乳室や相談室も設置されている。
6181 家賃については、募集前に不動産鑑定を取ったところ、これよりも低い結果だったと言う。確かに鉄道駅には遠く、最寄り交通機関はゆとりーとラインで、栄や千種へは大曽根で乗り換えなければならないという立地上の不利はあるものの、住宅の質や環境を考えれば「安い」という評価がされたのではないか。駐車場料金は1台4,000円を予定しており、1戸に付き1台までという制約が敬遠要因として働いたと聞く。
6201 しかし実に意欲的な設計・デザインである。中庭を囲んで南北に配された住棟は敷地内側で渡り廊下で連結され、そこに設置されたエレベーターで全戸アプローチが可能になっている。各住棟は2戸又は1戸ずつのクラスターとなって三面採光・通風を可能としている。囲まれた中庭も程よい広さで全体として非常に明るい住宅群となっている。北側住棟の1階部分は南入りとしコミュニティにも配慮した。
 共同菜園や生ゴミ処理機、子育て支援室の利用については、原則として入居者の自主管理に委ねることとしているが、実際にどう使われるか興味がある。敷地最北・道路沿いのビオトープもどうなることか。
 名古屋市はこの春に市長が替わり、新市長からは2期以降の実施について明確な指示は出ていないと聞く。確かにかなり贅沢な感じがしないでもないが、こうした住宅が普通に造られるようになれば、われわれの住生活もゆたかさが実感できるようになるのだろう。公共住宅の役割の一つとしての先導性に意欲的にチャレンジしており、技術者としてはうらやましさを覚える。事業収支や公平性など難しい問題もあるのだろうが、できればこのまま2期までやり遂げた上で、将来の評価に委ねることができればと思う。公共住宅の役割という観点からも興味深い。

【参考】マイフォト「エコビレッジ志段味」もごらんください。

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2009年7月19日 (日)

足助のその後 定住者が着実に増えている

 久しぶりに足助を訪れた。高嶺下(こうろげ)地区にお住まいのAさんに仕事の依頼をするのが目的だったが、ついでに「にこにこさくせん」他の住宅地を回ってきた。
5373 足助に行くのは何年ぶりだろう。3年ぶりかな? 前に行ったときは私がいたとき(5年前)の状況から大きくは変わっていないという印象だったが、5年も経つといろいろと変化が目につく。
 藤岡町から矢作川に架かる赤い加茂橋を渡り、月原(わちばら)から足助に入った。橋のたもとの土地は、かつて「にこにこさくせん」で紹介して買い手のつかなかったところだが、今回訪問したら立派なログ風の住宅が建っていた。
 さらに進むと道路右側の川沿いに新しい住宅が2軒並ぶのは、渡合(どあい)地区でここは5年前には既に住宅が建設されていたが、その次の右手奥の住宅地、石取り場の跡地を開発した「イーハトーブの里」には、「残り2宅地」の看板が掲げられていた。前に訪問したときにはプレハブ住宅も多かったが、新しい住宅は伝統的な意匠を採用した住宅が目立つ。たぶん開発初期には地元出身の若い世帯が多かったが、最近の入居者は山里の暮らしを求めてくる外来者が多いのではないか。いずれにせよ私がいたときには、地元で開発を推進していた方ともども将来的な見通しに不安を抱いていただけに本当によかった。
5375  御蔵(みくら)小学校を過ぎすぐの「御蔵の里」は私の任期中に土地を購入いただきすぐに住宅が建設されたが、もうすっかり緑に蔽われ土地になじんでいる。その先の小町(こちょう)地区は、道路付きの宅地にはすぐにログ風の山荘が建設され、薪や芝生がきれいな景観を作っていたが、奥の宅地がなかなか売れなかった。今回訪問したら立派な山荘ロッジ風の住宅が建っていた。急勾配の狭い道を見ては、汗を流して草刈りしたことを思い出し、よかったなあと思うと同時にほっとした。
5389  御蔵から大蔵を経て開通した足助バイパスの東、富岡から国道153号に出る。新盛の公民館・扶桑館では多くの車が止まっていた。名古屋ナンバーも多かったから何かのイベントでもやっていたのだろう。明川(あすかわ)の交差点から右に入り五反田地区に入っていく。ここは農作業に熱心だった熟年の定住希望者に購入いただいたということは聞いていたが、2軒並んで建っているのを見るのはうれしい。子どもの洗濯物が干されていたのは子ども世帯と一緒に住んでいるのかな。地域の人も喜んでいるだろう。
 この後、一路、道を下って萩野小学校から県道33号に至り、百年草の前を通って西に向かう。香嵐渓では多くの人が川に浸かり涼を取っていた。かつての役場は耐震改修を施し、足助支所として変わらぬ姿を見せている。足助保育園から橋を過ぎて白鷺温泉に向かう道は長らく工事中だったがもう開通していた。だが、そこから下山に向かう県道77号は昔のまま、狭く山間をくねくねと続く。野林の手前で道を間違えて沢ノ堂、冷田に向かってしまったのはご愛敬。
5393  戻ってようやくたどり着いた野林地区高嶺下は、町営住宅前の広場が整備され、地区内の道路も舗装されていた。そういえば舗装するかどうかで議論があったっけ。6区画だがまだ5軒しか建ってない。途中で脱却したMさんが夢去りがたく、地元のKさんの口利きで購入した町営住宅横の山の中には立派なログハウスが建っていた。
 Aさんには大歓迎で迎えていただいた。ベランダで涼風を感じつつ食べた五平餅とケーキは美味しかった。打合せ後、国谷(くにや)地区も訪ねると、集会所の奥に1軒家が建っている。ああ、売れたのか。よかったなあ。手前の空き地にも住宅が建てられ、少しずつ定住者が増えている。
5379  足助と言っても広いし、半日で回りきれるわけもないが、私が関わった地区のいくつかを回っただけでも、定住が少しずつ進んでいるようだ。一方で亡くなる方もいるだろうから、人口増というわけにはいかないだろうが、山の暮らし、農のある暮らしが少しずつ支持され、山里で暮らそうと考える人が増えていくのはいいことではないか。こうした動きが足助地域全体にどういう効果をもたらしているのか。そろそろその検証を行ってもいい頃かもしれない。今も足助のまちづくりに多少とも関わっているKさんや支所のSさんに持ちかけてみようか。
 やはりたまに訪問すると懐かしい。今回同行したYさんに「第二の故郷があっていいですね。」と言われたが、ホントそうかもしれない。この調子で少しずつ足助が元気になっていくとうれしいな。

【参考】
足助のすまいづくり:すまいづくり あれこれ
足助のまちづくり2:まちづくり あれこれ
足助 罵詈雑言

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2009年3月13日 (金)

稲沢市営西島団地

Imgp6108 植木の町、稲沢市の東郊に中層や低層の住棟が並ぶ市営西島団地がある。昭和40年代に建築された団地で低層棟はだいぶ老朽化が進んできた。南に老人憩いの家、西に環境センターがある立地のこの団地で、平成17年度から老人憩いの家と一体的に建替を行う事業が行われてきた。今年度末に住棟が完成するというので、見学会が開催されたので参加した。
 建て替わった建物は、1階に老人福祉センターと団地集会所、2階以上に公営住宅を有するRC造10階建て。既存の50戸に市内の別の2団地48戸の撤去に伴い、86戸の住宅を建設。86戸の内訳は、2DK:35戸、3DK:43戸、3LDK:8戸。
Imgp6111 2DKのうち12戸は高齢者用住戸として、緊急通報や安否確認システムを備え、押釦時や長時間水の使用がないときなど登録した連絡先へ通報するとともに、戸外で非常ベルが鳴り、玄関扉が解錠するようになっている。1階に老人福祉センターがあるものの、デイサービス等の事業者が現時点では決まっていないため、直接、老人福祉センターへ緊急連絡等をするようにはしていないとのことだった。
 老人福祉センターは広いロビー、18畳2室の和室、リフレッシュ・コーナー、展示スペース等に加え、隣接する環境センターの廃熱を利用した浴室が設置されている。また、開放的な多目的ホールや陶芸室もあり、屋外にはゲートボール場、グランドゴルフコース、多目的広場もある。
Imgp6112 この建物の一番の特徴は、買取方式で整備されたという点にある。愛知県住宅供給公社と覚書及び協定を取り交わし、公社は「公募型性能発注方式」で建設業者を募集。結果、比較的安くかつ特徴ある建物が建設され、また市にとっては、建設費に一定の事務費を加えて公社から買い取ることにより、技術職員の不足を補うことができた。
 86戸の住宅のうち40戸近くは今後公募していくそうなので、市内在住の方は応募を検討するのもよいだろう。市街地からは少し郊外になるが、市営住宅として意欲的な取り組みがなされた、全国的にも参考になる事例ではないだろうか。

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2008年5月 4日 (日)

環境共生住宅 シティファミリー志段味/県営山野田住宅

 名古屋市が環境型社会対応住宅のモデルとして、芸術家・荒川修作をデザイナーに迎え建設した志段味循環型モデル住宅「シティファミリー志段味」。建設前からその奇抜なデザインはこの地域の専門家の注目を集めていたが、完成後も期間限定の試験入居募集を行うなど、一時かなりの話題となっていた。最近はこうしたブームも一段落していたが、今年1月に名古屋市が、このモデル住宅を含む一帯約3.2haにおいて木造住宅を含む約200戸の循環型社会対応住宅を建設すると公表し、再び注目を集めている。
Imgp5857 この地区は、私の家からも近く、名古屋へ出る際の幹線道路沿いなので、今までもよく通ってはその奇抜な外観を眺めていたが、先日初めて道路脇に車を止め、住宅の内外を見て回った。
 全部で7戸の小さな住宅だが、全部で4棟に分かれる。このうち北東に位置するA棟が荒川修作デザインの2階建ての1戸建て。A棟を取り巻くように建てられたあとの3棟は2階建ての各フロアー1戸ずつの2戸建て。まるで天命反転地のように歪曲したA棟は外観を見るだけではカラフルでもあり緑も豊かに生い茂ってたいへん楽しそうに見える。屋上緑化や壁面緑化、太陽光発電など環境要素もふんだんに取り入れられており、モデル住宅の役割を十分果たしている(ただし、建設中の苦労や曲面が多用され段差も多い平面図を見ているだけに、手放しでは褒めにくいのだが)。B・C・D棟は中庭を囲んで木製デッキでつながっており、緑の豊かさや棟の間を吹き抜ける風などで住み心地の良さを感じさせる。これらの各棟にはエコキュートやガスコージェネ、燃料電池システムなどの新技術がモデル的に利用されている。その他、透水性舗装やクールチューブ、雨水貯留、共同菜園、次世代省エネ対応の断熱性能、生ゴミの堆肥化、自然素材やリサイクル材の使用などが試みられている。
 今回、外から見ただけでも、環境共生住宅の楽しさの一端を窺うことができたが、建設・費や維持管理費は相当な額になるはずで、モデル住宅と銘打つのであれば、こうしたデータはぜひ積極的に公開してほしいと思う。ちなみに、今回公表した循環型社会対応住宅の建設地に南東側では既に名古屋市住宅供給公社による環境配慮住宅が分譲され完売している。この住宅の建設にあたっては、モデル住宅の実績は活用されたのだろうか?
Fitimgp5867 この後、少し足を伸ばして、県営山野田住宅にも立ち寄った。こちらは公営住宅ということもあり、最小限の建設投資しかされていないが、愛・地球博開催時の外国人用宿舎として一時利用されたこともあり、環境共生住宅としての工夫がいくつか凝らしてある。外から見て一番目立つのが、妻面に施された壁面緑化。8階建ての最上階には太陽光発電も乗せられている。住棟の北側にある平屋の共用棟(集会所、自転車置場等)の屋上には木製デッキの間に緑化がなされ気持ちいい空間となっている。その他、雨水貯留や透水性舗装、LED照明、リサイクル材の使用などが取り入れられている。志段味循環型モデル住宅に比べればかなり見劣りするが、公営住宅として活用されていることを考えれば、現実的な取組みと言える。しかし、建設費や維持管理の問題から全ての県営住宅で同様の仕様を取り入れるわけにはいかないようで、その点は残念。
 これまでも、サンコート砂田橋など環境に配慮した住宅もいくつか見てきたが、これらがモデルとなり、一般的な手法としてもっと多くの住宅で採用されるようになるといいと思う。そのためにも行政にはもっと積極的な情報提供を期待したい。

 その他の画像は、マイフォト「環境共生住宅 シティファミリー志段味/県営山野田住宅」をごらんください。

(参考)
志段味循環型モデル住宅見学 【愛知建築士会「わたしらしい住まいづくり」】

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2008年2月 4日 (月)

すまいづくり・あれこれ

 通常の持家、借家等だけでなく、各地で様々な住まいづくりが実践されています。これらのうち、私が仕事で関わったり、興味を持ち設計者の方等から話を伺ったものをご紹介します。
 なお、これらの住宅は現在まさに住人の方が住まわれています。訪問等なさるときは失礼のないよう十分ご注意ください。

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2007年7月 8日 (日)

あいちの高優賃/けやき館

 愛知県の場合、政令市である名古屋市に加え、豊橋市、岡崎市、豊田市の各中核市も、県とは独立して、それぞれの認定基準の下に高優賃の認定を行っている。豊橋市が認定した高優賃が完成し、見学会が開かれたので参加してきた。

 続きは、(遊)OZAKI組 すまいづくり・あれこれからどうぞ。

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